
歯が悪いと宇宙にはいけない!?
1961年4月12日。旧ソ連の宇宙飛行士ユーリ・ガガーリンが、人類で初めて宇宙を飛んでからちょうど60年。
2021年に前澤友作さんが日本の民間人として初めて宇宙旅行を経験したのは我々の記憶にもまだ新しいところです。
最近少しずつ、民間宇宙旅行という言葉よく耳にするようにはなりましたが
前澤さんが支払った搭乗費用は100億円とも言われることを考えると
正直、まだ宇宙は「宇宙飛行士」や「億万長者」など一部の限られた人の世界という感じがしなくもないですよね。
しかし、2023年にアメリカのヴァージン・ギャラクティック社が成功させた民間人の宇宙旅行はおよそ6600万円。
そして日本の将来宇宙輸送システム社が先行予約を開始した宇宙旅行は7泊8日でエコノミークラスならば一人300万円(2040年代出発予定)だそうで・・・月日さえ経てば、宇宙旅行に行くのは夢のまた夢、という感じでもないのかなと思わせてくれます。
一人300万円で宇宙旅行に行ける。
決して安い金額ではないですが、お金さえ払えれば誰でも宇宙に行くことができる。
そんな未来がもうそこまできている。
そんなふうにみなさんは思われるかもしれません。
しかし「誰でも」というところには
「ちょっと違う」と言わせていただかなければなりません。
「頭脳明晰な人じゃないといけない?」「体力がないといけない?」
そういうことでもないのです。
もっと簡単なところです。
「歯が悪い人」は宇宙に行くことはできないのです。
「またまた、歯科業界に特化した企業だからって、大袈裟なんじゃない?」と思う方もいるかもしれません。
もし「実際そんなに大したことはないでしょ?」と思っているのであれば、考えを改めないといけないかもしれませんね。

虫歯があると宇宙に行けないのか?
歯が悪い人は宇宙には行けないと、書かせていただきましたが
まず宇宙飛行士は、打上げの前に、外れそうになっている詰め物はないか、飛行中に悪化しそうな歯はないか歯科医師に検診を受けます。
これは単純な健康診断ではなく、宇宙空間では歯の状態が悪い場合の影響が地上よりも顕著に出てしまうからなのです。
実際に、スペースシャトル「エンデバー号」の日本人初の宇宙飛行士である毛利衛さんは「95年の選抜では親不知とむし歯の治療をしないままに2次選抜に臨んだため、不合格通知の紙にはしっかりと『歯科治療の必要を認める』という一文があった」と話されています。
ではなぜ行けないのか
そもそも虫歯自体がそのままにされていてはいけないものなのですが
「宇宙空間だとめちゃくちゃ歯が痛くなる」ということがあります。
そうです。めちゃくちゃ痛くなります。それも耐えられないほどに。

ちなみに無重力の宇宙船内では歯を削る治療はできません。削った歯が飛び散り、精密機械の故障の原因になってしまうからです。
ですから宇宙で歯が痛くなり、痛み止めでどうにもならない場合には、歯を抜くしかありません。
そうです。宇宙船内で歯を抜くんです。
事実、宇宙飛行士は、そういった場合に備えてお互いの歯を抜く訓練をしているそうです。
それくらい宇宙空間での歯の痛みというのは耐え難い、大きな問題なのだということです。
ではなぜ宇宙空間では、地上以上に歯痛くなってしまうのでしょうか
それは「気圧」に大きな関係があります。
船外活動をするとき宇宙服の中は約0.3気圧に減圧されています。
宇宙飛行士はその減圧環境で作業をするわけですが、治療後の歯でも、古い治療でその後虫歯が進行してしまい、歯に空洞ができていると、周囲の減圧に従って空洞の中の空気が膨張します。
そうすると歯を内側から圧迫するため耐え難い痛みが生じてしまう場合があるんですね。
これを「気圧性歯痛」と言いますが、しっかりと治療されている歯であれば問題はないのです。しかし、そうでない場合は、地上での気圧差に比べて、宇宙空間や宇宙服内での気圧差が大きいために、より一層の痛みとなってしまうことがあるのだそうです。
せっかく宇宙旅行が身近なものになり、「よし行ってみよう」と思い立ったとしても、歯の状態が悪いために行くことができない。
体もお金も問題ないのに虫歯がたくさんあるために、全て治すまでは宇宙に行くことができない。
なんてことも、きっと起きるかもしれません。
そんなことになったらカッコよくないですし、なんだか恥ずかしいですよね。

だからこそ、もし宇宙飛行士になりたい、宇宙に行ってみたいというゆめ持つお子さんが周りにいたとしたらぜひ伝えてあげて欲しいのです。
宇宙飛行士になるにはたくさん勉強することはもちろん、それと同じくらい
「歯を大事にしないといけないよ」と